三年前より、『巡り合い体験記』というミニ冊子(タイトルを含めてA4版4ページ)を不定期で発行しています。行って、見てきたもの、思ったことなどを写真と共に綴った写真エッセイです。
このコーナーでは、その中から、いくつかのエピソードを紹介していきたいと思います。
伊予十三仏参り
十三仏というのは、亡くなった人の追善供養に関わる、初七日から三十三回忌までの十三の仏様や菩薩様です。初七日は不動明王、二七日は釈迦如来、三七日は文殊菩薩、四七日は普賢菩薩、五七日は地蔵菩薩、六七日は弥勒菩薩、七七日(四十九日)は薬師如来、百箇日は観音菩薩、一周忌は勢至菩薩、三回忌は阿弥陀如来、七回忌は阿閦(あしゅく)菩薩、十三回忌は大日如来、三十三回忌は虚空蔵菩薩。このそれぞれの仏様を守り本尊とするお寺をまわるのが、十三仏参りと言われています。地方にもよるのかもしれませんが、松山では、新年一月に祖先供養のために行うことが好まれているようです。
今年は、コロナウイルス感染拡大の影響で、延期延期が続き、十月になってようやくお参りが実行されました。参加は十五名。バス二席を一人で利用するということ、車内の食べ物は禁止ということで、注意しながらのお参りとなりました。
松山市周辺をバスでまわるのですが、朝、7時30分にバスが出発し、戻ってきたのが、17時15分。途中昼食は広間でアクリル板を前に黙食。20分もあれば食べ終わり、30分ほどの食事休憩でバスに戻って、次のお寺へ。という行程でした。途中、コスモスの群生を見たり、落ち葉に秋の風情を感じたりもし、外に出られることの嬉しさも少し味わうことができました。
小型のバスでしたので、広くない道も入ることができ、歩く箇所が少なかったのは助かりましたが、この十三仏参りには、あと二か寺が追加されます。発願の寺と結願の寺です。しかも、この二か寺は石段が多く、息を切らしながら上りました。十五のお寺をまわり、蝋燭と線香、お経をあげるのは、思いのほかの難行でした。祖先供養ですから、ご利益を求めてはいけないのでしょうが・・・。
『巡り合い体験記9』(令和3年10月発行)より転載
2021年初夏のとべ動物園
6月はじめ、とべ動物園に行ってきました。今回は4月生まれのカバの赤ちゃんとの対面がメインでした。
はじめは中にいましたが、途中で屋外に出てきてくれたので、とことこ走る様子なども見られてなごみました。
そして一方で驚いたのは、2019年9月生まれのクロサイのフーが立派になっていたことです。角もしっかり伸びて、隣のお母さんと並んでも、2歳とは思えない体格で、パワーを分けてもらえた気がしました。動物の成長というのは早いのかもしれませんが、頼もしいものです。これからのカバの赤ちゃんの成長も見守りたいと思います。
とべ動物園に行きたかった目的がもう一つありました。
愛媛県新居浜市出身のアーティスト、石村嘉成(いしむらよしなり)さんの作品を見ることです。
ゾウ舎内に展示された作品は、色彩豊かで力強いタッチと相まって、迫力を感じました。ゾウ舎ということで、高い天井の空間で見る作品群には圧倒されました。
上の3枚の絵の中には、「挑戦だ」「負けないぞ負けるな」「この大地に生きる」という言葉が添えられています。絵にはそれぞれ、タイトルや短い言葉が書かれていて、それを一つ一つ読みながら絵を見るのも楽しいものでした。小さな空間の中で、作家の力のこもった作品に囲まれるという体験は特別なものでした。8月まで開催されるとのことです。
『巡り合い体験記8』(令和3年7月発行)より転載
追記:カバの赤ちゃんは、7月4日の命名式で、「まんぷく」というお名前になりました。たくさん食べて、すくすく育ってほしいと思います。