介護の問題は、家族の問題でもあり、いずれは自分の問題でもあります。
介護される人と介護する人が心地よい日常を過ごすにはどのような環境を整えればいいのか。母の介護体験から、何か参考になればと思います。
家族の介護をする人同士や経験者の話を聞き、参考になる場所も提供したいと思います。
介護の期間を対話の時間へ
家族の介護が始まると、要支援とか要介護とかその度合いが気になり、実際の介助に心身共に費やされてしまいます。
気持ちよく、少しでも楽に生活してほしいという気持ちで、どのような形がいいか、何が必要だろうか、ケアマネージャーさんや施設の人に何を聞いてみようかなど、介護に関わることばかりに心を奪われてしまいがちです。
私も、その合間にパートの仕事をしていましたから、日々の生活が精いっぱいという状態でした。
母の死後、なかなか片付けられないままなのですが(たぶんまだ何年もかかると思いますが)、古い箪笥を一つ処分しようと思って引き出しの中を出してみたところ、小さな木の部品が出てきました。
思い当たることがあって確かめたところ、仏壇に祀っている小さな仏像の厨子でした。父のものだったのか、母のものだったのかもわかりません。聞いておけばよかったと思いました。
アルバムの写真もそうです。どのような人と過ごしていたのか、聞いておけばよかったと思います。
エンディングノートには、その人の人生を書く部分があります。しかし、ご本人が書くのが億劫だったり、ペンを取るのも厳しい状況の時には、聞き書きということもできます。
目の前の家族の身体的な苦しみをみるだけではなく、心動く時間を介護する側も共有できれば、お互いの心も和むのではないかと思います。心の余裕というのは、なかなか持てませんが、辛い介護の時間も、話すことで心やすらぐ時間に変えられれば実りあるひとときになるのではないでしょうか。(2022.2.28)
介護の住宅改修
足があまり上がらなくなり、玄関から廊下へ移動する時、介助しないと上がり降りが難しくなってきたので、ケアマネージャーさんに改修業者さんを紹介していただき、踏み台をつけることにしました。
当時、母は要支援2でしたが、介護保険のおかげで、後から補助分が戻ってきたので助かりました。
一度目は下の踏み台だけでしたが、後にその段差だけでは厳しくなり、上の段にも低めの踏み台を設置していただきました。また、廊下やトイレなどにも手すりをつけることで、転倒の危険が少なくなったようでした。
要介護2に認定される頃には、車椅子のお世話になることになりましたが、この改修は、いずれ、家族のためにもなるわけですから、住宅改修は親からの贈り物とも言えますね。
要介護の母の留守番ランチ
私が同居する前の母は、家の中をなんとか歩くことはできていましたので、お弁当サービスを頼んだり、ネットスーパーから食品を届けてもらったりしていました。ネットスーパーに注文するのは離れて暮らしていた私です。電話で母の希望を聞いて注文するのですが、便利な世の中になったと思いました。また、お弁当サービスは、安否確認も兼ねてくれるので、その点でも安心でした。
やがて私が同居し、食事の支度もするようになりましたが、私が仕事に出ている間、台所に立つことは難しくなり、本来は通勤する人が持って出るお弁当箱を、母の食事に使っていました。電子レンジのある台所まで行けませんから、保温力のあるお弁当箱は、特に重宝しました。
そして電気ポットとカップラーメン、パン、ティーバッグ、スティックコーヒー。お菓子。お腹がすけば、食べてもらう。当時できたのは、それが精いっぱいでした。